診療内容(手術・その他)

眼科の手術室は、眼がその独特な免疫機構ゆえ、細菌などに感染しやすい為、高い清潔度が求められるのですが、当院では「バイオクリーン高度清潔区域(HEPAフィルターを用いた垂直層流方式適用かつ陽圧維持」(NASA規格でクラス10000をはるかに超える)ハイ・クリーンの手術室での手術を行っています。
 

当院で受けられる手術(その他下記以外にも手術施行しております。)

  • 白内障手術(保険適応外の多焦点・3焦点レンズ挿入も実施しております。詳しくは自費診療ページを参照ください。)
  • 緑内障手術
  • 網膜硝子体手術(糖尿病網膜症や硝子体出血、黄斑前膜や黄斑円孔、裂孔原性網膜剥離など)
  • 眼瞼手術(加齢性眼瞼下垂や眼瞼内反症、睫毛内反症、眼瞼腫瘍、眼周囲の腫瘍など)
  • 結膜手術(翼状片、結膜腫瘍、結膜弛緩症)
  • 涙道手術(シリコンチューブ挿入術、涙点プラグ挿入術(ドライアイ治療))
  • 眼窩手術(眼窩脂肪脱出に対する手術)
  • 硝子体内注射(ルセンティス®、アイリーア®を用いた加齢黄斑変性や黄斑浮腫を伴う網膜静脈閉塞症や糖尿病網膜症)
  • ボトックス注射(眼瞼けいれんに対する治療)

選定療養について

選定療養とは、保険適用外の治療を追加費用負担することで、保険適用の治療と適応外の治療を合わせて受けることができる制度です。 多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が選定療養で実施できることでこれまで全額自己負担であった多焦点眼内レンズを用いた白内障手術費用の負担を軽減できる制度となります。
白内障手術自体は通常の保険適用の手術で受けていただくことができ、多焦点眼内レンズを選択することでかかるレンズの費用の差額のみを自費で追加負担いただくことで手術を受けていただくことができます。
保険診療で行われていた単焦点レンズを用いた白内障手術の費用に加え、多焦点レンズを希望される方は多焦点レンズ代と追加検査代を自費で払うということになります。

選定療養対象の眼内レンズ

手術機器

CENTURION(センチュリオン)

白内障手術をより安全安心、よりスピーディに!最新最上位機種モデル

CENTURIONの最も進化した特徴

圧倒的な破砕力とコンピューターに制御された眼圧安定システムの搭載です。
これによって、さらに手術の安定性、効率性が大幅に向上しました。
  白内障手術は濁って硬くなった水晶体を砕いて吸引しますが、手術中は眼圧を一定に保つために常に眼内に専用の灌流液を注ぎ続ける必要があります。 手術中の眼圧の変動は、手術の安定性と効率性が下がるため、手術中のリスク管理において非常に重要な課題でした。 従来の白内障手術装置は、灌流液を注入するボトルを高い位置に吊るし、そのボトルの上下動させることによって重力を変えて手術中の眼内圧をコントロールしていました。
 
センチュリオンは灌流バックを本体内部に設置し、手術装置本体が検知した流体の変化に応じて、加圧減圧をすることで、灌流圧を調整して手術中の安定した眼内空間を維持することができます。 手術中に変化する灌流圧を自動的・継続的にモニタリングする機能が搭載されており、手術中の眼内圧の変動を抑えることで、手術のリスクを低減し、手術の安全性・安定性・効率性の向上を実現しています。
 
眼圧が安定することで、術者の操作性の向上により術中合併症も低減することが期待され、水晶体破砕効率があがり超音波の時間も減ることによって切開創付近の摩擦による温度上昇を抑え、創口熱傷の発生のリスクも低減します。

 
手術時間の短縮や手術の安全性と効率性が格段に向上しており患者さんにとってのメリットが非常に大きい手術器械です。

Constellation(コンステレーション)

白内障・硝子体手術を同時に行う事のできる、世界でも最新の手術装置

白内障・硝子体手術を同時に行う事のできる世界でも最新の手術装置です。

安全で低侵襲の手術が可能で、手術時間も短く、患者さんの負担が格段に減りました。

硝子体手術は、網膜に起こる様々な病気を、目の中にある硝子体を切除しその先の網膜に対して治療を行う、眼科領域で高度な治療分野の一つです。
適応になり得る疾患は糖尿病網膜症・網膜剥離・黄斑前膜・黄斑浮腫・その他の硝子体出血など数多くあります。
コンステレーションは、白内障・硝子体の同時手術はもちろん、眼内レーザー、シリコンオイル注入など、あらゆる機能が搭載されています。
 
従来機種よりも高性能な硝子体カッターを備え、硝子体カットレートの倍速化、最新の極小切開手術にも対応可能で、あらゆる硝子体疾患に対し、幅広い術式を提供できます。

傷口は1mmよりも小さい穴を3つあけて手術をしますので眼球を大きく切開する必要がなく無縫合で手術を終えることができます。
このため、手術による侵襲は極めて少なくてすむようになりました。
また、より精密にコントロールされる灌流圧供給システムにより、眼圧が安定します。
よって従来よりもさらに安全で確実な手術が提供できるのとともに、手術後の回復、安定も格段に早くなり、患者さんの負担の低減が期待されます。

笑気麻酔

~手術が怖い・不安な方に~

笑気麻酔を用いた手術

 
「目」の手術は怖い、「手術」が不安という方も少なくないと思います。
そんな方におすすめなのが笑気ガス麻酔です。
低濃度笑気麻酔とは、亜酸化窒素(笑気)と医療用酸素を混ぜ合わせた気体を吸入することで、恐怖心や不安感から解放されリラックス状態にして不安や痛みを感じにくくする、安全性の高い麻酔のことです。
全身状態に影響は出にくく安全性が高いため、歯科で小児の治療の際にもよく使われています。
 
〇料金

    • 3割:1,000円
    • 1割:300円
  • 笑気麻酔の特徴
  • どんな方におすすめ?
  • 笑気麻酔が向かない方
  • 使用方法

笑気麻酔の特徴

リラックス効果

軽い鎮静・鎮痛作用と睡眠作用がありふわふわするような感覚です。
※全身麻酔ではありません。

安全性が高い

笑気には毒性がなく、副作用はほぼないと言われています。
そのため呼吸器系、肝臓、腎臓、代謝系などに負担をかけることはありません。
終了後、経過観察が必要ないため使いやすい麻酔です。
※まれに四肢の脱力や吐き気などが出る場合があります。

術後も体に残らない

血中からの排出が早く体内で分解されないので身体への負担も少なく使用後はすみやかに体外に排出され数分で元に戻ります。

使用方法

①横になり鼻から低濃度笑気を吸引します。
必ず鼻から吸うようにしてください。
少し甘い香りがしますが、ストレスなく吸引していただけます。
全身麻酔の場合は意識がなくなりますが、笑気麻酔は眠ったり意識がなくなるはありません。
 
②2分~3分でリラックスした状態になります。
麻酔が効き始めたころに手術を開始します。
意識はあるので患者さんの反応をみながら手術を進めることができます。
 
③麻酔を止めると、数分で元の状態に戻り歩いて退出できます。

笑気麻酔がおすすめな方

手術に対する恐怖心や不安感が強い方

不安感や恐怖心の強い方は、術中の血圧の上昇や過呼吸などのリスクが高まります。
笑気麻酔を使用することで精神的負担を軽くし、防止につながります。

持病がある方

手術に伴う恐怖や不安、痛みは全身状態に影響します。
普段それほど血圧が高くない方も手術のときは高くなることが多いです。
持病がある方は、笑気麻酔を使用しリラックスした状態を作ることによって治療の安全性ができます向上できます。

手術の痛みが心配な方

笑気麻酔は鎮静作用に加えて鎮痛作用もあります。
リラックスと同時に痛みを感じにくくもなります。

笑気麻酔が向かない方

  • アレルギー性鼻炎や鼻詰まりで鼻呼吸できない方
    (笑気ガスは鼻から吸うため)
  • 中耳炎の方
  • 妊娠、授乳中の方
  • 呼吸器系疾患のある方(喘息、気胸)
  • 肺、腸閉塞のある方
  • パニック障害の方
  • 過換気症候群の経験のある方
  • てんかん既往のある方

付帯施設

準備室

こちらの準備室で、手術時に点滴が必要な方の点滴の準備・抜去を行います。

回復室

こちらの回復室は二階まで吹き抜けになっており、手術前の準備、および手術が終わりましたら、ソファーにかけながら、テレビをみたり、外の景色を見ながらリラックスすることができます。

手術内容

涙点プラグ



分泌された涙は、目頭側にある上下各1個ずつある「涙点」から涙道を経て鼻腔内へ排出されていきます。ドライアイなどで点眼治療だけでは十分な効果が得られない場合は、「涙点」にプラグ(栓)をし、涙や角膜保護剤の「涙点」からの排出を抑え、眼表面により潤いをあたえる治療法です。1-2分でできる簡単な処置ですが有効な治療法です。

黄斑変性・黄斑浮腫に対する注射治療

「黄斑」とは中心視野と中心視力を担当する非常に重要な部位なのですが、糖尿病網膜症や静脈閉塞症、加齢黄斑変性やぶどう膜炎などの炎症性疾患で障害されると、視力の低下や視野の中心部分が歪んだり、暗くなったりします。その場合、硝子体手術を選択することもあるのですが、アイリーアやルセンティスの硝子体内注射、ステロイドのテノン嚢下注射が有益である患者様には、日帰り治療で行っております。

ケナコルトテノン嚢下注射による糖尿病性黄斑浮腫の改善例

投与前

投与後


浮腫が改善し、正常な形態に近づいています。

正常の黄斑部

ボトックス治療

眼瞼けいれんは「まぶしい、目が開いていられない、乾く」などの症状からはじまり、進行すると自分で目があけられなくなってくる疾患です。また片側顔面けいれんは初期には片方の目の周囲、口がぴくぴくし、進行すると目の周りや口、ほお、あごの筋肉がひきつってきます。それに対し、ボトックス治療はボツリヌス毒素をけいれんしている部分に注射し、筋肉をマヒさせることで症状を軽減する治療です。施注は1-2分で終わります。保険適応の治療です。