予防接種

子宮頸がん

子宮頸がんとは

子宮下部の管状の部分を子宮頸部とよび、そこにできるがんを子宮頸がんとよびます。
子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占めます以前は発症のピークが40~50歳代でしたが、最近は20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっています。
子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることがわかっています。
このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染します。

HPVに感染しても、90%の人においては免疫の力でウイルスが自然に排除されますが、10%の人ではHPV感染が長期間持続します。
このうち自然治癒しない一部の人は異形成とよばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。

HPVワクチンが定期接種で受けられるようになりました

HPVワクチンは市区町村が主体となって実施する定期予防接種で受けられるほか、定期予防接種の対象年齢以上の人が任意で受けることもできます。
HPVワクチンの接種はヒトパピローマウイルスの感染を予防し、HPVが原因の疾病の予防につながります。
 

HPVワクチンの効果

HPVワクチンの種類と標的とする型

*2価ワクチンは子宮頸がんの主な原因となるHPV16型と18型に対するワクチンです。
一方4価ワクチンは16/18型と、良性の尖形コンジローマの原因となる6/11型の4つの型に対するワクチンです。
2価、4価は子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎます。
 
*9価HPVワクチンは、さらに5つの型(31/33/45/52/58型)が予防対象になります。子宮頸がんの原因の80~90%を防ぎます。

当院でも子宮頸がんワクチン、シルガード9(9価)の接種ができます

対象:お住いの市町村より補助券が発行されている方

対象者(生年月日) 助成対象期間 接種回数
原則は同一ワクチンを接種
平成9年4月2日~平成19年4月1日生まれの女子 令和7年3月31日まで 2価・4価・9価:3回
平成19年4月2日(高校1年生相当)~ 高校1年生相当の年度末(3月31日)まで(H19.4.2~H20.4.1生の方はR7.3.31まで) 2価・4価・9価:2回または3回               ※ワクチンの種類、年齢等により異なります。
平成24年4月1日生まれ(小学6年生相当年齢)の女子

※当院では9価(シルガード9)のみ接種可能
※高校1年生で接種を開始する方は、期限内に3回接種を完了するためには、その年の9月までに接種を開始することが必要です。
 


※1:1回目と2回目の接種は、少なくとも5か月以上あけます。
 5か月未満である場合、3回目の接種が必要になります。
※2・3:2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の2か月後と6か月後にできない場合、
 2回目は1回目から1か月以上(※2)、3回目は2回目から3か月以上(※3)あけます。

ワクチン接種の予約

  • 予約制になります。
    (予約が入り次第の発注になりますので早めにご連絡ください)
  • 予約後のキャンセルはできませんのでご了承ください。
    延期対応は可能です。
    補助券には期限がありますので早めのご予約をお願い致します。
  • 予約可能曜日は火・木曜日の13:30、13:40
  • 筋肉注射です。看護師が接種致します。
  • お住いの市町村から配布された予診票、母子手帳ご持参ください。
  • 保護者のサインが必要になりますので注意してください。
  • 接種後30分間当院で安静待機となります。
  • 接種受けた日の運動は禁止のため、部活動など注意してください。

子宮頸がんワクチンの必要性について

  • 平成25年4月から定期接種ワクチン(決められた年齢では無料で接種を受けることができるもの)となっており、ご希望があれば医療機関で接種を受けることができます。12~16歳の女子であれば、3回の接種はすべて無料です。しかし、平成25年に厚生労働省の通知により、HPVワクチンの積極的勧奨を差し控える(ワクチン接種をお勧めしない)ことになりました。その後、HPVワクチンの有効性と安全性が証明されたこと、接種体制の整備が行われたことから、令和3年11月12日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会において、この平成25年の勧奨差し控えの通知を「終了させる」ことが決定されました。

Q.ワクチン接種による副反応としてどのようなことを考えておくと良いですか?もし、そのような症状があった時にはどうしたら良いですか?

 
HPVワクチン接種後の女子に見られた広範な慢性の体の痛みや運動障害を中心とする様々な症状がメディアで繰り返し報道されました。その後の調査により、HPVワクチンそのものが原因となった可能性は否定的と考えられ、また、これまでに報告されている重い症状がすべて副反応であると仮定しても、その確率はHPVワクチンを1万回接種した場合に1件以下の頻度であり、極めてまれと言えます。
ただし、これらの症状がすべて副反応である可能性が否定されたわけではなく、接種に伴う痛みや接種前後のストレスが、このような症状を引き起こすきっかけになることもあると考えられています。
 

以下のような症状が出たら、お医者さんや周りの大人にワクチンを受けたことを伝えて、相談してください。

 

  • 注射の針を刺したときに強い痛みやしびれを感じた
  • ワクチンを受けた後に、注射した部分以外の所で、痛みや手足のしびれ・ふるえなど気になる症状や体の変化がある

 
【起こるかもしれない体の変化】

多くの人に起こる症状

  • 注射した部分の痛み、腫れ、赤み
  • 疲れた感じ、頭痛、腹痛、筋肉や関節の痛み

その他の症状

  • 注射した部分のかゆみ、出血、不快感
  • 発熱、めまい
  • 発疹、じんましん
  • 緊張や不安、痛みなどをきっかけに気を失う

 

【まれですが、起こるかもしれない重い症状】

  • 呼吸困難、じんましんなどを症状とする重いアレルギー(アナフィラキシー)
  • 手足の力が入りにくいなどの症状(ギラン・バレー症候群)
  • 頭痛、嘔吐、意識の低下などの症状(急性散在性脳脊髄炎:ADEM)

 

〈痛みやしびれ、動かしにくさ、不随意運動について〉

  • ワクチンを受けた方に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのにからだの一部が勝手に動いてしまうこと)などを中心とする多様な症状が起きたことが報告されています。
  • ワクチンを受けていなくても、こうした症状のある方もいることが分かっています

 
 

ワクチン接種後の副反応

接種後に現れる可能性のある症状

発生頻度 報告されている症状
50%以上 接種した部位の疼痛(痛み)
10~50%未満 接種した部位の腫脹(はれ)・紅斑(赤み)、頭痛
1~10%未満 浮動性めまい(頭がぼーっとしてふらつく感覚)、悪心、下痢、接種した部位の掻痒感(かゆみ)・内出血、発熱、疲労感、など  
1%未満 嘔吐、腹痛、関節、接種した部位の出血・血腫・硬結、倦怠感(だるさ)など
頻度不明 感覚鈍麻(刺激に対して感覚が鈍い状態)、失神、四肢痛など

シルガード9添付文書より改編
 

※過去に重度の副反応やアレルギー症状が生じたことのあるかたは、当院で接種することはできませんのでご了承ください。

重度の副反応

病気の名前 主な症状 報告頻度
アナフィラキシー 呼吸困難、蕁麻疹などを症状とする重いアレルギー 約96万接種に1回
ギラン・バレー症候群 両手・足の力の入りにくさなどを症状とする抹消神経の病気 約430万接種に1回
旧姓散在性脳脊髄炎(ADEM) 頭痛、嘔吐、意識の低下などを症状とする脳などの神経の病気 約430万接種に1回
複合性局所疼痛症候群(CRPS) 外傷をきっかけとして慢性の痛みを生ずる原因不明の病気 約860万接種に1回

看護ルー 資料参照

よくある質問

 

  • 15才未満の場合、2回接種と3回接種のどちらかを接種すべきですか

 
小学校6年生の学年から15歳未満の方が接種を開始する場合の接種回数について、2回または3回接種のいずれかを選択できます。
2回接種の場合、5カ月以上の接種間隔が必要です。
1回目と2回目の接種間隔が5カ月未満だと3回接種が必要です。
2回接種における効果は3回接種と同等以上とされています。
 

  • サーバリックス(2価)またはガーダシル(4価)を1回または2回接種している場合シルガード9(9価)を接種することは可能ですか

 
原則として同じ種類のワクチンを接種することをお勧めしますが、医師と相談のうえ、途中からシルガード9に変更し、残りの接種を完了させることができます。この場合も定期接種の対象となります。
キャッチアップ接種の対象の方も、途中からシルガード9に変更し、残りの接種を完了させることができます。
キャッチアップ接種を受けるためのご案内は住民票のある市区町村からお知らせが届きますのでそちらを確認ください。
※シルガード9に変更した際はシルガード9の接種方法に合わせ、1回目と2回目の間隔を1ヶ月以上、2回目と3回目の間隔を3ヶ月以上あけて接種します。子宮頸がんワクチン(2価、4価)をすでに接種完了している方はシルガード9の追加接種を推奨しておりません。
 

4 価 HPV ワクチンでカバーされていない 5 つの HPV(31/33/45/52/58)型に対しても抗体反応を認めた場合、続いて接種する 9 価 HPV ワクチンによって抗体産生が増強することも認めました。
 

  • シルガード9で1回目または2回目の接種を受けてから1年以上経ってしまいました。次の接種はどうすればよいですか

 
接種間隔が数年以上空いた後にシルガード9を接種した場合においても、 一定程度の効果と安全性が示されています。
既定の間隔から外れてしまった場合でも接種を最初からやり直す必要は無いとされています。
十分な予防行動を得るためには既定の回数を完了させることが大切です。
できるだけ早めに残りの接種を受けるようにしてください。